総集編と新作
感度の高いおれは知っているがいま映画館ではものすごいかずのアニメ映画がやっている。
お前らはすぐ「君の名は。」だとか「シン・ゴジラ」だとか「この世界の片隅に」とか、そういう昨年の3大イケオタク映画を観ただけでオタクづらする。お前がグッズを買い漁ることで自尊心を保とうとする腰抜けや、回数だけみたことを自慢するような阿呆でないことを証明することができないなら、メキシコの大地でBARに入ったとたんに・・・・飛んできた弾丸で冷たくなる・・・・そういうことだ。
そろそろ文体を普通にします。
ともかく今映画館ではものすごい数のアニメ映画がやっている。
そしてそれは新作という名の新規カットを追加した総集編も少なくない。
実際問題、TVシリーズ13話分を2時間にまとめるのは至難の技で、しかしながら、俺達オタクが好きなTVシリーズのエッセンスを2時間で味わえるなら、という需要があるのも事実。
要は、互いの譲歩や諦念を感じつつも、経済は周っているのだから良しとするような風潮が少なからずあった。
アニメ映画における「総集編」 と「新作」の境界線 藤津亮太のアニメの門V 第27回 | アニメ!アニメ!
「劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~」も例に漏れず、テレビシリーズ「響け!ユーフォニアム」の第2期の総集編として作られた作品だ。
ただし、この映画に関して言えば、総集編というより再構成した一本の映画。そんな印象を受けた。
総集編といえば、ストーリーの要所要所をかき集めているもんだから、すごい勢いで起承転結が繰り返されるというブツギリ感が付き物なのだが、今作に至るはそれがかなり薄い。TVシリーズ第一期を観た人なら十二分に入り込んで行ける。
要因は、TVシリーズからの大胆な時系列の変更と、そしてもっと大胆な物語の取捨選択によるところが大きい。
TVシリーズではみぞれ&希美、久美子&ASKAの2本のエピソードを中心に、一期から続く麗奈と先生の話などのサブストーリーで構成される。
映画版では驚くまでに久美子とあすかの話にフォーカスされている。
あすかの魅力は全てを悟ったようなふりをして願いはとてもシンプルという「いじらしさ」だ。新規描き下ろしの場面も、あくまであすか個人のいじらしさを掘り下げた場面が多い。
「ユーフォ好き?」の問答は、イコール、久美子のあすか先輩への気持ちとリンクしており。そのためには久美子の姉との会話シーンすらカットする徹底ぶり。
また、吹奏楽をテーマにしているということもあり、使い所が難しくなる劇伴音楽も、後半の畳み掛け、中でも一番の盛り上がりでストリングスをガンガンに聞かせた音楽がかかる。それまでは基本的にピアノ中心のBGMなのが憎い。
この映画は総集編の一つの正しい在り方だと言い切っていいと思う。
インタビューがめっちゃ良かったのでこの今後もこの監督・絵コンテ作は追っていきたい。